ねむいつらいかえりたい

もうただの日記

来迎 たいせつな人との別れのために@中之島香雪美術館

やたら天井が高いオフィスビルのなかに、ひっそりと、しかし異様な落ち着きと堂々たる風格を示す中之島香雪美術館。

通常いつもガラガラ(失礼)なのだが、私が行ったときは結構人が入っていた。
今回の展覧会のキャッチコピー「たいせつな人との別れのために」そしてキャプションにつけられた「死後、人はどこに行くのだろうか?」という文章がとてもいい。
こんな時代だし。
優しげなポスターも目をひいて、よくわからんけど観に行くかという気持ちになった。

まずもって仏画に理解の乏しい私なので、「来迎図」とか「浄土図」というジャンルを初めて知った。

なるほど円陣来迎図…菩薩のまわりをいろんな菩薩が囲んで天から降りてくる様子は…いや、これ…かぐや姫の物語の天上人と宝石の国の月人のモデルですよね…?そうか、これが元ネタだったのか。

この来迎図には、もちろん阿弥陀如来観音菩薩勢至菩薩、それと周りで楽器を演奏しまくる二十五菩薩がメインで描かれているパターンが多いものの、様式は多様で、中には、菩薩を見て鬼が逃げる様とか、家のなかで臨終者とそれを悲しむ家族が描かれていたりと、人の生活に密着した絵だったことがわかる。

平等院鳳凰堂の扉にも描かれてる九品来迎図によると、現世での暮らしぶりによる極楽ランキングであるところの九品次第で、来迎パターンにも差があるらしく、最上位ではフルメンバーで来てくれるけど、最下位ではもはや誰も来てくれないらしい…うろ覚えですが…。極楽浄土も楽じゃないな…。

今回は、香雪美術館所蔵で修復直後の「帰来迎図」も展示されていた。通常、来迎図は阿弥陀如来が天から降りてくるのが主要な描き方だけど、臨終者とともに天へ昇っていく後ろ姿を描いた珍しいタイプの来迎図らしい。臨終者がちょこんと蓮台の上に載ってるのがかわいかったですね。

普段見る機会がない来迎図というジャンルを知ることができて、やっぱり仏画の世界は深いなと思いました(浅いコメント)

美術作品を見るのに仏教そのものをもっと勉強しないとな…と思ってるけど今のところ如来と菩薩しか区別がつかない。

あと、香雪美術館…色々ありそうだけどキュレーションも受付や学芸員さんたちもとてもいい感じなので、経営陣はともかく頑張ってほしいといつもひっそり思ってるよ…。