ねむいつらいかえりたい

もうただの日記

そばにいたいよ君のためにできることが

8月末から、covid-19に罹患し10日間ホテルに隔離されていた。
2日後に海外出張を控え、準備万端のところに。

貴重なわたしのひと夏がベッドの上で終わってしまった。
自分がそうなる前は、巷で言われるホテル療養とか自宅隔離とか、もうやりたいことやれる最高の10日間でしかないと思ってた。
でも無理だった。普通にしんどすぎて。普通に症状が全部出て。
ここ5年、風邪の一つもひいたことがない、けっこう健康だった私の夏の思い出。

1日目
朝起きたら喉が痛かった。クーラーのせいかな…と思うレベル。
しかしあまりに痛すぎたため、一抹の不安を覚え、家にあった抗原検査キットを試してみるが、ひと思いに棒を鼻に突っ込む勇気がなくinvalid判定。家庭内隔離へ。
夜になると、頭が割れるほど痛くなった。偏頭痛と違って、なんかもう顔全部が痛いレベル。下半身の関節もなんか痛くなってきた気がする。
寝なければいけないが寝れず、2時間おきに目が覚め悪夢を見続ける。

2日目
なぜか喉の痛みはすっかり治り、頭痛と咳と熱へシフト。
リスクを感じたので会社に連絡し、検査受けます(^_-)-☆と告げて休みにする。
感情は一切ないが便利な薬を簡単に出してくれる近くのかかりつけの医者に行き抗原検査で陽性確定。
疑いのある患者は個別治療室に移動させられる。恐怖!"ワクチン打ってないです、一回も。"って言うおっさんの横で受ける抗原検査。
車の中でクーラーはつけず窓を開けながら、自分はいったいどこで感染したのか考え続けた。
その週は毎日出社していて、やったことといえば、サシランチ、すし詰め会議、レイトショーの映画、通勤。
周囲に陽性者は出まくってるものの、近しい同僚は一切感染しておらず、同じ部屋にいて自分だけ感染したとも考えづらい。
それ以外は、ああ…デパ地下だ…。出張のおみやげを探し求め1時間強ひらすら歩き回った…。デパ地下、一番感染する確率が高そうだ。
マスク手洗い最優先で飲み会は一切参加してない(単に嫌いだから)私ですら罹ったのに、この町を歩く人はかかってないのかよ…自由に歩けるのかよ、みんなかかってないなんてすごすぎる。

カロナールを飲むと頭痛と熱が途端にひき、普通に動けるようになったので、昼から会社への諸々の連絡と引きつぎをする。それと同時にホテル療養する方法を調べる。
大阪では、若齢者のホテル療養や支援物資の要請は自分で動く必要があり、自宅待機緊急SOSという番号に電話してみることにした。
私はぜんそく持ちで、家庭内に高齢者がいる旨を伝えると、そこから2時間くらいで府の担当者から折り返しがあり、すぐに翌日のホテル療養が決まった。
夕方ごろタクシー会社から迎えの時間を告げる電話。

もうね、普通に保健所対応が早くて驚いたし、電話は丁寧すぎて恐縮したし、正直こんな丁寧にやってたらそれは自治体はパンクするだろうと思った。
もっと適当になろうや日本。そんな一から百まで全部説明しなくてもぶっきらぼうな電話でいいよ。
2日目は終日37.5-8.0の熱がひかず、本当に寝られなかった。

3日目
ホテルへ行く用意はすぐにできた。なぜなら私は陽性になる直前まで海外に行けると信じて疑ってなかったから…。
スーツケースはそのままで、服はパジャマに取り換え、療養のしおりにあるタオルやシャンプーリンス、ドライヤーなどを追加していく。
正直意識がもうろうとしてたし、家族と鉢合わせるわけにもいかなかったので、何が必要か、何が食べたいか考える余裕がなかった。

3日目の症状は、咳に加え鼻水がひどくなってきて、さらに背中と肺が痛くなっていた。ウイルスが肺に降臨した感があった。
午前中にお迎えが来てホテルへナドナされる。こんな辺境の地に、自分1人のために、ハイグレードのアルファードでお迎えに来てもらう機会はもう霊柩車に乗るまでないだろう。

到着したホテルの受付はビニールで覆われ、微妙なクオリティのマイクとスピーカー越しに手続きの説明をされる。
いやもうそんな丁寧にしてくれなくていいよほんま。しおり読んでろクソボケの一言でいいよ、紙もいらんよ。
部屋に戻ると看護師さんから電話があり、体調と薬の確認、まだ発行されていなかったハーシスIDを確認して教えてもらい無事登録が完了。
このサイトを介し1日2回自分の体温と酸素濃度を記入する。
そして実に3日ぶりのシャワー!!!アメニティもタオルもドライヤーもないけど、でもそんなことアフリカを経験した私には何でもないのよ。お湯が出るだけで世界に感謝。
だんだん咳と鼻水がひどくなり朦朧としてきたが、航空券のキャンセル手数料を無料にしてもらうために航空会社のSMSサービスでやりとりし、ハーシスから出した療養証明のスクショを送る。
ものの1時間で返信があり、キャンセル料も無料になり本当にありがたかった。エアライン最高。
夜ご飯は6時ごろ。普通にバランスよく野菜も豆も肉もある食事に感謝。正直私は大してご飯に興味がなかったので、食べられれば何でもよかった。
この日も夜からさらに鼻水と咳がひどくなり2時間で起きてしまった。
寝れないのでひたすら金カム3期を見ていた。

4日目
5時半まで暴落中の米国市場とSATC続編のAJLTを眺め続けていたが、ついに咳に疲れ果てて2時間ほど寝る。
朝7時の検温で8.5度。ワーーオ。なぜこのタイミングで経験値上昇?また頭痛が復活したのでロキソニンプレミアムに手を出しまた寝る。
ところが11時に起きると驚くほど鼻水がない。え?3時間まであんなに鼻水でパンパンだった鼻が通るようになってる!?奇跡だった、私の強靭な身体の抗体に感謝。熱も5.8度と平熱になった。
かなりクリアな身体になってきた喜びを噛み締めるが、エレベーターで下に行っただけなのに脳貧血のような吐き気に襲われ元に戻らない。
4日目は貧血のターンだった。それからずっと寝る。

5日目
熱が下がり切らず36.5-7.5度を行き来するが咳と鼻はだいぶ改善。
と同時に、何食べても異常に塩辛いだけで味がしない。今思うと鼻づまりのせいだといいけど、このあたりから本当に完全に良くなる日が来るのか悲観的になってくる。

6日目
在宅勤務を開始し、ひたすら打ち合わせを傍聴。
ホテル療養に不満はないものの、私は普段からホワイトモカを愛飲し、週5でドーナツやケーキを食べる砂糖依存症なので、一切甘いものがない生活にイライラしはじめる。
お弁当に文句はないが、私がかなり嫌いな部類の焼き魚が出てくることが多く、生臭さに耐えきれなくなってくる。
プリンとかクッキーとか菓子パンを持ってこなかった、いやそんな頭がなかった自分を心から恨んだね。

7日目
完全に解熱。在宅勤務。
でもまだ蓄膿みたいな鼻づまりとそれによる頭の重さが治らない。風邪っぽいな~と感じるあの感じ。
味覚は、苦い・辛い・甘いの判定はできるけど味はせず、ったく、コロナぽくなってきやがったぜ…。

8日目
前日夜9時から爆睡したのに起きたらひどい貧血だった。後で気づいたけど、吐き気と貧血は処方されたトランサミンの副作用だった気がする。
鼻づまりと咳はあまり改善せず、ひたすら在宅勤務。
あとUNEXT独占配信のシリコンバレーを一気見。

9日目
痰がつまるのでおっさんのような咳払いをしないとしゃべれない。それ以外はかなり普通に戻ってきた。
ひたすらホワイトモカとオールドファッションハニーとチョコミントと犬のことを考えて過ごす…。
毛のある動物が恋しく、ずっとYouTubeで犬動画を見ていた。
自分の人生で、外に出たり人と交流することよりも、甘いものと犬と暮らすことのほうが重要度が高いなということがわかってきた。
旅に出ると、自分から色々なものがそぎ落とされて本質が見えてきますよね。

10日目
最終日なのに、まったくホテル療養をエンジョイできていなかったことに気づき、巻きなおしを図る。
仕事関係の本をすごいスピードで読み、なんとなく作業をやった気になり、よく寝る。

出所日
朝、保健所からの電話でもう熱ないから出ていいよという許可と、出所時間の連絡があった。
どうでもいいけど"出所"の枕詞は"お勤めご苦労様です"ですよね。
ありがたいことに母に迎えに来てもらうことができ、即スタバでホワイトモカベンティを頼んだ。
10日ぶりに外に出ても、正直大して感慨はなく、本当に私は外に出なくても日の光浴びなくても生きていけるんだなということを思い知った。
ただ夏は終わった感じがあって、8月より柔らかくなった日光を浴びながら、なんとなくふがいなくなる。
カメラロールには、スクショ以外何もない。

まあ、一生のうちそんな夏もあるよな、と思いながら、8月と相性が悪い自分の体をもう少し労わろうと思った。
ワクチン接種から5か月目で感染したのでそれも関係あるかもしれないけど、とにかく睡眠不足で免疫が落ちてた気がするので、毎日6.5-7時間は寝ようと思う。

世間はもうコロナなんかない顔してるけど、いまだにどこで感染するかわからないし、2週間経ってだいぶマイルドになってきたものの、咳、痰つまりは治ってません。
皆さんもご自愛ください。